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Medical care診療内容

ヒトパピローマウイルスが原因の男性中咽頭癌について

喉の疾患についてのお話

婦人科の子宮頸がん発症の原因となるのが、ヒトパピローマウイルス(以下HPV)であることは、広く知られています。本年4月より、小学校6年~高校1年の女子を対象として、ワクチン接種の勧奨が再開されました。耳鼻科領域で、このHPVへの感染が男性に多い中咽頭がんの発症に、大きく関与しているということをご存じでしょうか?

最近、このHPVの感染が原因で起こる男性の中咽頭癌が世界的に増加していると言われています。日本人でも、ラストエンペラーの映画音楽でアカデミー賞を受賞したミュージシャンやサッカーが得意なお笑い芸人がこの癌の発症を公表して、話題になりました。

これまで、耳鼻科領域の癌といえば、高齢の方で飲酒と喫煙を長年嗜まれている方に多いと言われてきました。一方、HPV関連の中咽頭がんは、40〜50代の男性で増えており、オーラルセックスなど性行為の多様化が原因とされています。部位としては口蓋垂の両側の口蓋扁桃の陰窩というくぼみに多く発生します。

症状としては、のどの違和感がほとんどです。進行すれば呑み込む時に痛みがでたり、首のリンパ節が腫れたりします。

診断法としては、幸い、耳鼻咽喉科医であれば、視診、触診で容易に診断が可能です。また、通常の耳鼻科領域の癌に比べて化学療法、放射線療法の効果が高く、一般に予後が良いとされています。

我々耳鼻科医も、以前に比べ、この疾患の存在を常に念頭において、日常診療を行っています。使い古された言葉ですが、どんな癌でも早期発見、早期治療が大切です。のどの違和感を認める方は早めに受診してください。