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Medical care診療内容

ヒトにも鰓(エラ)がある? -先天性耳瘻孔の話し-

耳の疾患についてのお話

[どんな病気?]

先天性耳瘻孔とは、生まれつき耳の周囲(多くは耳の前)に小さな穴が開いて、その下方に管(または袋状のもの)がある状態です。耳の奇形の一種と言えますが、その中では、かなり頻度の高いもので、日本では2−3%程度の発現率と言われています。

[原因] 

妊娠4週目くらいの胎児の頭には、魚のエラ状になったところ(咽頭弓)が存在します。この部分は、後に顔面や頸部へと発達していくのですが、その過程で本来なら、消えるはずの管および穴が残ってしまったのが耳瘻孔です。つまり、この穴は私たちの祖先が魚だった名残とも考えられます。

[症状と治療]

穴が空いているだけで無症状であれば、放っておいて問題はありません。感染を起こすと、この穴の周囲が赤く腫れて、痛みが強くなり、ひどい場合は自然に破れ(自壊と言います)膿が大量に出る場合もあります。
このような場合は抗菌剤や消炎鎮痛剤で厳重な治療が必要で、メスで切開して膿を出す場合もあります。
炎症を繰り返す、膿が持続的に出てくる場合、皮膚が赤く(瘢痕といいます)なって美容的に問題がある時は、手術的治療が必要です。瘻孔は奥が深く複雑に広がっていることがあります。手術は、耳瘻孔の周囲に皮膚切開を入れて,瘻孔全体を一つの塊として摘出します。しかし瘻孔の壁を取り残すと感染や炎症などをおこして再発することがあります.このため、手術は繊細な手技が必要で、成人は局所麻酔、子どもの場合は全身麻酔で手術を行います。

[予防]

汗をかいたり、頻繁に触ることで、細菌が瘻孔に侵入して、腫れやすくなると言われています。あまり、触りすぎないようにしましょう。