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Medical care診療内容

声を失うということ(のどの癌のお話し)

喉の疾患についてのお話

声を1

近、大阪出身の有名な音楽プロデューサーが、喉頭癌になって、声を失ったことが報道されました。このニュースは、テレビのワイドショーや女性週刊誌でも多くの記事で取り上げられました。その結果でしょうか、当院でも喉頭癌や咽頭癌を心配されて、受診される患者さんが増加した印象があります。

 喉頭とはいわゆる「のどぼとけ」のことで、ごはんが入るところ(食道)と呼吸をするところ(気道)を分離する個所に発生した器官です。喉頭には、飲食物が誤って肺に入ること(誤嚥といいます)を防ぐ働きがあります。そして、ここには声帯があり、人類の喉頭には発声して会話を行うという大事な機能があります。

喉頭癌でも咽頭癌でも、喉頭を摘出するということは、永久に声を失うと言うことを意味します。そしてもう一つは、食事をするところと、呼吸をするところが完全に別経路になるということです。つまり、飲食物は口から直接食道へ送り込まれます。一方、呼吸に必要な酸素は、喉頭摘出時に頸部の前に新たに作成した穴(気管口と言います)から直接、気管を通って肺へ空気を送り込まれるということになります。このため、入浴の際などには、ちょっとした油断で、肺に直接水が入ります。結果、常に呼吸困難に陥る心配があるなど、生涯大きな障害が伴うこととなります。

耳鼻咽喉科には、耳、鼻、のどと様々な種類の手術があります。どの手術が一番重要なものかということは一概には言えません。しかし、喉頭摘出術は機能喪失の大きさということで、手術後の人生を考える上で、大きな意味があります。自分が耳鼻科医になって、最初に喉頭癌の患者さんの主治医になり、その手術に立ち会い、喉頭を摘出した瞬間のことは、今でも忘れられません。

声を3

耳鼻咽喉科には、耳、鼻、のどと様々な種類の手術があります。どの手術が一番重要なものかということは一概には言えません。しかし、喉頭摘出術は機能喪失の大きさということで、手術後の人生を考える上で、大きな意味があります。自分が耳鼻科医になって、最初に喉頭癌の患者さんの主治医になり、その手術に立ち会い、喉頭を摘出した瞬間のことは、今でも忘れられません。

自分が耳鼻科医になった30年近く前、大学病院の耳鼻科外来には、喉頭癌や咽頭癌で声帯を失った方がたくさん受診されていました。そして、食道発声、電気喉頭、気管食道シャント法などの方法で、失った声を取り戻そうと懸命な努力をされていました。今回の音楽プロデューサーの事例でも、食道発声を習得するよう訓練を行う予定だと各メディアで報道されていました。大きな困難が伴うかと思いますが、是非とも食道発声を体得していただきたいと思います。

当院でも喉頭癌の患者さんが受診されることがあります。もちろん、喉頭癌が疑われれば、いち早く確定診断と根治治療が可能な病院を紹介させていただきます。自分が医師になった頃に比べれば、放射線療法、化学療法、手術療法ともに発達し、喉頭の全摘出に至る患者さんの頻度は減少しています。しかし、今回のケースのように、不幸にして声を失うことになる患者さんも、まだまだいらっしゃることも現実です。この原稿を書いている最中にも、グループサウンズで活躍したミュージシャンが、下咽頭癌で声帯を失い、結果的に自殺に至ったという報道がされました。声を失ったあとの喪失感、その後のストレスは、他人から簡単に語ることはできないと思います。

言い尽くされた言葉ですが、これら、のどの病気に関しても早期発見、早期加療が大切です。60才以上の方、喫煙される方、飲酒される方、男性の方は、咽頭癌、喉頭癌を発病する確率が大きくなります。声がかれる、のみ込みにくい、違和感があるなどがこれらの病気の初発症状です。少しでも、のどが気になる症状があれば、是非とも、早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。