耳鼻咽喉科が扱う、ヒトの感覚には、聴覚、平衡覚、嗅覚、味覚があります。しかし、嗅覚については、これまで視覚、聴覚、平衡覚に比べ、注目されることが少なかったように思います。一方、現代社会においては、アロマテラピーの流行にみられるように、匂いの感覚は潤いのある生活を送る上で欠くことのないものとして、関心がたかまってきています。
嗅覚障害の原因として、
- 鼻副鼻腔炎
- 感冒罹患後
- 頭部外傷後
- 薬物性(抗がん剤など)
- 原因不明
などがあげられます。
特に、感冒罹患後の嗅覚障害は、かぜが治れば元通りになるだろうと、どうしても軽く考えがちですが、まったく改善しない場合も多々あります。一般的には、治療開始が早期であるほど、その治療成績が良いとされ、早期の受診が望まれます。
治療については、その原因に応じた種々の治療が行われますが、代表的なものは、鼻副鼻腔炎に対する手術療法やその他の疾患に対するステロイド療法です。
最初に書いたように、未だ研究が進んでおらず、治療方法が確立されていない部分もあります。しかし、嗅覚障害は風味障害として、味覚にも影響を及ぼします。生活の質を考える上で、重要な感覚なので、匂いぐらいと安易に考えないで、耳鼻咽喉科専門医と相談してください。