マイコプラズマ肺炎が今年、流行しています。患者数の定点観測では、最近になり、やっと減少傾向が見られていますが、まだまだ多くの患者さんの報告があります。この病気、我々が学生のころは、オリンピック熱とも呼ばれていました。つまり、オリンピックの年に4年周期で流行するというのです。近年は周期に関係なく流行する傾向がありましたが、今年はリオデジャネイロオリンピックの年、まさしく当たり年といったところです。
マイコプラズマ感染症の症状と特徴
咳、のどの痛み、頭痛、倦怠感といった症状が主となるため、風邪と見分けがつきにくいことがあります。マイコプラズマ感染症の特徴といえば、なんといっても頑固な咳です。発熱やのどの痛みが治まっても、咳が長引く傾向があります。場合によっては、肺炎を引き起こすこともあります。また、マイコプラズマ感染症は5~12歳の小児で発症しやすいのが特徴です。
マイコプラズマ感染症の感染力
くしゃみや咳での飛沫感染で伝染し、インフルエンザ感染症などに比べれば、感染力はそれほど強くありません。同居している家族間でも、濃厚に接触しなければ感染しないこともあります。しかし、先に述べたように、5~12歳で発症しやすく、学校や家庭での感染に気をつけなくてはなりません。
マイコプラズマ感染症の潜伏期間
潜伏期間は2~3週間です。したがたって、マイコプラズマ肺炎の患者さんと接して感染しても、すぐに発症するわけではないことに気をつけてください。
マイコプラズマ感染症の検査
マイコプラズマ感染症を検査する方法には下記のように、いくつかの種類があります。
1.培養
2.血液中の抗体反応
3.遺伝子検査
4.迅速検査キット
などがありますが、1-3までは判定までに時間がかかったりして、なかなか実施することが難しい検査でした。近年、4の迅速検査キットが開発され、当院でも導入しています。これは、綿棒などでのどをこすって「ぬぐい液」を採取します。その液から20分ほどでマイコプラズマを検出するため、外来で気軽に行える検査です。
マイコプラズマ感染症の治療方法
内服治療
クラリスなどのマクロライド系抗生物質が用いられます。耐性菌の問題が言われていますが、現状では、第一選択の抗生物質です。服用期間は以外に長く7-10日間使用されます。これに、対症療法として、咳を止める薬、痰を出す薬、熱を下げる薬などを症状に応じて服用していただきます。
自宅での治療
水分や栄養を十分に補給しながら休養してしっかりと体力を回復させていただきます。
マイコプラズマ感染症の出席停止期間
「学校保健安全法」では、マイコプラズマ肺炎は第3種の中の「その他の感染症」に含まれています。しかし、インフルエンザ感染症などとは違い、マイコプラズマ肺炎の登校・登園禁止期間は、法律によって定められているわけではありません。主治医の指示のもと、他の園児や児童への伝染リスクがないと判断される場合、登園・登校を許可することができます。
マイコプラズマ感染症の予防
マイコプラズマ感染症を予防するためには一般的な風邪予防と同じく、手洗いとうがいが基本とされています。当然ですが、マイコプラズマ感染症患者との接触を避ける、マスクを着用することも大切です。
今年は、冬の訪れが早く、11月に入ってから気温の低下と乾燥状態が認められます。これらのことから、インフルエンザ感染症を含めた冬型感染症も早期の流行が予想されています。マイコプラズマ感染症も含め、これらの疾患は早期の受診と適切な診断と治療により、症状の改善がはかれる疾患です。もちろん、自宅で安静にすれば改善する上気道炎もありますが、症状から上記感染症などが疑われれば早めに医療機関を受診して下さい。