[原因]
鼻出血の原因には様々なものがありますが、最も多いものは外傷です。外傷と言っても鼻を打撲することではなく、ほとんどは爪で引っ掻いて起こるものです。治ると、カサブタになり、触ってはがれて、再び出血ということを繰り返します。時には寝ている間にシーツに出ていたとか、何もしていないのに鼻出血がみられ、お母さんたちを心配させることもあります。しかし、そのほとんどは無意識の刺激が関係しているようです。鼻に指を入れる癖によることが最も多いのですが、このような刺激がなくても、鼻粘膜の炎症が原因となり出血することもあります。炎症を起こすと鼻粘膜はむくみ、血流も多くなり、簡単に出血するようになります。鼻水が続いたり、繰り返して鼻出血がみられる場合は、鼻アレルギーが原因のこともあります。
鼻出血が続くと血液の病気が心配になりますが、多いものではありません。区別するためのポイントは出血の回数よりも、むしろ止まりにくさです。
[出血の場所]
鼻の中を左と右に仕切っている鼻中隔の前下方にあるキーセルバッハ部位というところです。ここは鼻の入り口に近く、しかも血管が豊富だからです。
[治療]
鼻出血に際しての処置は、出血部位の圧迫が基本となります。あわてずにティッシュペーパーや綿をまるめて鼻中隔に押しつけるように鼻の穴につめ、鼻翼を上から指で5分以上押しつづければほとんどの場合止血します(ティッシュペーパーを詰めたり抜いたりを何回もしてしまいがちですが、抜くときに、また刺激で出血することも多いようです。したがって、入れたれたままで圧迫した方がよいでしょう)。止血しにくい場合には鼻の周辺や後頭部を冷やしながら圧迫して下さい。
姿勢は心臓の位置より出血部位を高くするため、横にならずに座った姿勢で、また、鼻にたまった血がのどに流れて不快にならないように(出血を飲み込むと、もどしたりして、ショック状態のようになることもあります)顎を引き、やや下を向いた姿勢を取るのがよいでしょう。あわてないで冷静に行うことが肝心で、特に幼児では周囲の人があわてると不安がり、泣きだしたりしてなかなか止血しにくくなります(首の後ろを手で叩くと止血するという俗説がありますが、まったく意味がなく、かえって首をいためる原因となります)。
また鼻出血の原因がアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎によるものなら、同時にその治療が必要ですので通院や薬の内服をしていただく場合があります。