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Medical care診療内容

慢性的なめまい(持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness, PPPD)の話

その他

めまいの原因は様々です。
原因として、大きく分けて4つあげられます。
1.耳の病気
2.脳の病気
3.神経や血管の病気、
4.ストレス・心因性の病気
そして、実際はこれらの原因が単一では無く、複雑にからみあって起こります。

急性のめまいの原因として、良性発作性頭位眩暈症、メニエル病、前庭神経炎、突発性難聴、外リンパ瘻、脳梗塞などがあげられます。これらの病気は、比較的診断が容易で、治療法も確立しています。

一方、慢性的なめまいとしては、原因がはっきりせず、長期にわたって持続する方がおられ、診断、治療に苦慮するケースが多くありました。慢性的なめまいでは心因性めまい・内耳性めまい・めまい関連片頭痛・肩こり、起立性低血圧等の自律神経調節障害などが微妙に複雑に重なりあっています。

この慢性的めまいに対して、2017年になり、新しい疾患概念が確立されました。それは、持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness, PPPD)という疾患です。

このPPPDは、①浮遊感(ふわふわした感じ)、不安定感、非回転性めまいのうち一つ以上が、3ヶ月以上にわたってほとんど毎日存在し、症状は長時間(時間単位)持続し、症状の強さに増悪・軽減があり、一日の内では、時間がたつにつれ増悪する、②立位姿勢、身体の動き、視覚刺激で増悪する等の特徴があります。詳細で複雑な診断基準があるのですが、ここでは省略させていただきます。

特徴的なことは、PPPDには先行疾患があり、その病態が無くってからめまい・ふらつきパターンに移行するとされています。
PPPDを発症させる頻度が高い先行する病態は
・末梢や中枢性の前庭疾患(25~30%)
(前庭神経炎や突発性難聴、メニエル病を含む)
・前庭性片頭痛(15~20%)
・パニック発作や不安(30%)
・脳震盪やむち打ち(10~15%)
・自律神経障害(7%)
などが言われており、耳鼻咽喉科疾患では、前庭神経炎の後に発症することが多い印象があります。また、うつや不安症を抱えている人も多いとされています。

PPPDは症状以外、聴力検査や平衡機能検査などの検査で明らかな異常がない疾患で、症状と経過のみで診断をつけることが必要になります。まだ、疾患概念が広く認知されておらず、なかなか診断に至らないことが実情です。

治療は、患者さんに診断や病気について正しく理解していただくことから始まります。このことが、一番重要と考えます。治療としては、心療内科的には抗うつ剤の処方や認知行動療法が行われます。一方、耳鼻科的には一般的な抗めまい剤では効果が無いことが多く、前庭リハビリテーションや有酸素運動をお勧めさせていただいています。精神的なストレスがある方や睡眠障害がある方には、抗不安薬や睡眠導入剤の内服もひとつの方法です。

めまいの症状が長引く方はこのPPPDかもしれません。残念ながら、自然に治癒することは難しく、特効薬があるとは言える疾患ではありません。しかし、病気を知り、生活スタイルや内服療法により、症状の軽減が図れます。この疾患が疑われる方は、当院を受診してください。